猫背でもサルはサル。


by 13staydream
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mm、パトカーに乗る その2

「こんにちは」
交番に、1人の男が訪ねてきた。歳は30~35歳といったところか。
ずいぶんやせぎすの頼りない男。
「はい、どうしました?」
永田さんが対応してくれている。
「あのぉ…盗難届ってこちらで大丈夫ですか」
「どんな内容なんだい」
やさしい笑顔で受け答えをする。

「いやぁ、実はバイクを盗まれまして……1カ月ほど前のことなんですけど……」
「あぁ、そうかい。じゃあ、そこかけて」
なんてこった。1カ月も前の盗難を今届けるのか。
小さな交番とはいえ、やることは山ほどあるというのに。市民なんてそんなもんだ。
「いやぁ、もうバイクが出てくることはないと思っているんですけど、
 一応届けたほうがよいなんて、友達も言うもんですから……」
自分でもわかっているなら、なおさら余計な仕事をさせてくれるな。
ここからは高木の仕事になる。
「じゃあ、そのときの状況を聞かせてください」
男を座らせ、高木もまずはノートを手にして腰かけ、できるだけ丁寧な言葉使いを
心がけて(永田さんが言うには私の言葉は冷たく感じるのだそうだが)応対する。
来てしまった以上は、規定にそった対応をしないといけない。







*           *

あぁ、暑い。
やっぱり盗難届とか面倒くさかったな。
今日は、この後新宿までいって、久しぶりの昔のバイト仲間との会う約束が
あるから駅まで歩いている。その途中にある交番に顔を出してみた。
たかだか、15分ほど歩いただけで、汗が止まらない。
mmは狙っていた高速バスの時間には遅れそうだな、と腕時計を見た。
まぁ、早めに出てきたので集合時間に遅れることはないだろうが。
一通り書面作成が終わると、
「じゃあ、そのバイクが盗まれた現場を見たいので家にうかがってもよいかな」
えっ?今から。駅に向かっている途中なのに、また戻らなくてはいけないのか。
なんてこった……。
「わ、わかりました」
「じゃあ、私は10分後ぐらいにお宅にお邪魔します」
歩いて、戻るのか。わずかにエアコンがかかっている交番内だが、
まったく汗はひかない。
さらに、歩いて帰るなんて最低だ。

                              (続)
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by 13staydream | 2010-07-29 00:13 | 物語