猫背でもサルはサル。


by 13staydream
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バレンタインデー前夜の出会い 2

私は早く帰りたい気持ちでいたが、あせっても仕方ないと
ヘッドホンをつけ、鞄から文庫本を取り出して読み始めた。
電車が動き出す。
すると、隣の女性が私の肩をたたく。
ヘッドホンをはずす。
彼女が手にしていたのは小さなミルクチョコレート。
「甘いものは嫌いですか?」
「いえ、そんなことはないですけど・・・」
彼女はチョコレートを少し前に差し出してきた。
「よかったら、どうぞ」

「ありがとうございます」

普段にないシチュエーションに私は反応に困る。

彼女は私の手元を見る。
「何の本を読まれているのですか?」
少し照れくさそうに問う。
「森博嗣というミステリ作家の本です」
なんだか恥ずかしい気になる。
「失礼かと思ったのですが、私もミステリは大好きです。
 でも、森博嗣という作家は存じません」
話し方や仕草が妙に清楚である。育ちがよいのかもしれない。

そんな話で結構会話がはずむ。
すると携帯電話に着信。
デッキに出て話す。
戻ってくると彼女は窓の方を向いて目を瞑っているようだった。
何だかちょっと寂しい気分になる。






結局、その後は一切話すこともなく、電車は私の降りる駅へ近づく。
気持ちよく寝ている彼女だったが、降りる間際に目を覚ましてくれた。
何か話さなくては・・・。





そこで、私は一言。







「おばあちゃん、チョコレートありがとう」

と、彼女とはここでお別れ。
ちなみに彼女の会話は40年前はどうだったとか、
彼女の好きなミステリ作家は西村京太郎で、
近頃は内田康夫も読むそうだ。

ちなみに美人かどうかは人それぞれの判断だと私は思うのです。

何ともやさしい時間を過ごしました。

                               (了)
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by 13staydream | 2006-02-19 22:41 | 戯言