猫背でもサルはサル。


by 13staydream
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夜のピクニック

「夜のピクニック」が本屋に並んでいたのは数年前だったと思う。
よい本に出合えたとき、もっと早く読んでいればと思うことは
よくあるが、この本に関してはなぜか今、出合うべくして出合った
ような気になった。

todocciさんが「面白いよ」と借してくれたのが
先週ぐらいのことだったか。
それでも、あまり自分好みではないような気がしていた。
今日、会った友人もまたこの本を2日間で読んでしまった、
と評していたので、いよいよ読もうかと手にしたのだ。

夕方から読み始めて、ひと晩で読み終えてしまった。

青春時代、こんな気持ちのときもあったなときっとみんなが感じるのだと思う。
私にこの本を薦めてくれた2人とも似たような例えをしていた。


1日を通して、歩きつづけるというエピソードを通して物語は続く。
この歩きつづけるという行為がどれだけ辛いことかを私は知っている。

この本は高校生の物語だが、私にとっての物語は今からちょうど10年前。
そう、大学2年生のころだ。



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私はおそらくすべて言える。

ノリというか、誘いを断りきれなかったというか、ひょんなことから
「山手線1周ハイク」なるものに参加したのだ。一緒に歩いたのは
ローバースカウト部という奴らでいわいるボーイスカウト活動をしている大学生たち。
そこに、普段は運動もしない私とその後輩2人がゲストみたいな形で参加した。

出発は池袋駅。時間は18時だった。参加者は2グループに分かれ、内回りと
外回りでそれぞれスタート。天気は雨模様。時期は日本シリーズがはじまっていて
巨人が戦っていた。大森がホームランを打ったが負けた試合という記憶が正しいかどうか。

前半は「夜のピクニック」でもあるように元気なのである。
新宿駅あたりを歩きながらどこかから聴こえてくる当時の流行曲に
あわせて鼻歌などうたっていた。途中で雨が降ってこようと気にしない。
大崎駅では線路沿いに歩いていたはずなのに、道にも迷った。
口数は減ってきている。

品川駅を過ぎたあたりから、やけに次の駅が遠くなる。

東京駅に着いたときには、そもそも棒みたいな足が、本当に棒になったみたいだった。
やってはいけないと分かりつつ、信号待ちのたびにその場に座り込む。
立ち上がるのにまた体力をつかうのを分かっているのに。

上野駅に着いて西郷どんの銅像を横に見ながら、始発電車が動き出す。
慣れた連中は疲れた中でも元気なのだが、素人3人の弱り方は限界を超えていた。
ここで、私を含めた誰かがリタイアを申し出れば、おそらく残り2人は素直に一緒に
手をあげて動き出した山手線に乗っただろう。
後に誰もが認めたことだが、自分から切り出すことができなかった。

駒込駅で少し休憩をとったときには座ったまま居眠り。自分でも気づいていないのだが、
証拠写真は事実を物語っていた。巣鴨や大塚まで来るともはや惰性である。
口数も少ない。いや、まったくしゃべっていなかったかもしれない。
しゃべることで体力を消耗することが危険なのだ。
カラスが店先のゴミをあさりながら、いつもと同じように駅に向かうサラリーマンたちを
横目にひたすら歩きつづける。

朝8時ごろだったと思う。再び池袋に帰ってくる。
もう一方のグループは1時間以上前にゴール地点に着いていた。
山手線1周何キロあるのだか、いまだによく分かっていないが、
50キロぐらいだと聞いたような気がする。
いずれにしても、なぜそんなことをするのか分からない。
不条理である。でも、私も含め2人の後輩たちも後々まで
このエピソードを忘れない。いまだに酒を飲むとたまに話すネタだ。


「夜のピクニック」ではもっといろいろな葛藤や悩みを抱えながら
歩くのだが、どこか共感も覚えたりした。

あれから、10年がたったのだ。
もうすぐ30歳になる。
偶然であるがまた無謀な挑戦をすることになりそうだ。
歩き続ける以上に自信はないが、マラソン10キロの誘いを受ける。

リタイアしてもよいと思っている。
それでもまた1つ、きっとよい思い出ができる。
タイミングよくそんな気持ちにさせられて
この本に出合ったのは、何だか偶然とも思えないわけだ。

*また長すぎです
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by 13staydream | 2006-09-27 02:52 | 戯言