猫背でもサルはサル。


by 13staydream
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怪盗mm捕まる!? その3 最終回


刑事は容疑者の自白をただ聞いていた。刑事には長年の感がある。勘違い
をしていると言われたその言葉に嘘は感じられない。こいつは真実を語っ
ている。それにしても、一体われわれは何を勘違いしているというのだ。

「私は来たときと同様にキーを取り出しました。キーレスって言うんです
 かね。ボタンを押して鍵を開けようとしたのです。ところが、鍵は開か
 ない。来るときはすぐに空いたにもかかわらずです。今思えば、ここで
 おかしいと感じるべきだったのかもしれません。電池がなくなったのだ
 ろうと思い、私はキーをそのまま鍵穴に差し込みました。一瞬堅く感じ
 ましたが、少し左右に動かすとほどなく鍵は開いたのです。トリックな
 ど何もありません。ただ、それだけです」

「・・・・・・」






「そして、運転席に私は座りました。気づいていないのです。今度は運転
 すべくキーを差し込んでいます。ここではさすがに、さすがにというべ
 きなのか分かりませんが、キーは回りませんでした。そこで、いよいよ
 私は異変に気づいたのです。車内を見渡すと自分が乗ってきた車と違う
 のです。見たことのない書類のようなものが置いてある。私が乗ってき
 た車にあるはずの社用車証も見当たらない。つまり、この車は私が乗っ
 きたものと同車種同色ではあるが、私が乗ってきた車ではなかったので
 す。私は慌てて、車を降りました。持ち主が近くにいないかあたりを見
 回しました。もちろん、いないことを願っていました。そしてドアを閉
 め、鍵を差し込むと今度は動きもしません。閉めることができないので
 す。持ち主には悪いと思いましたが、どうしようもなくこれだけ車が止
 まっていれば、そうそう勝手に入る人もいないだろうと思い、結局その
 ままにして自分の車を再び探しました。5台はさんだ先に自分が乗って
 きた車はありました。その先はどうなったかは私も知りません」

「そんなことがあるのか・・・・・・」

刑事は取調室のドアを開け、ほかの刑事に何か指示をしている。おそらく、
今mmが言ったことが事実起こり得ることかを、さっそく確かめさせるの
だろう。
「刑事さんが私をプロの窃盗犯と勘違いされましたが、私はただ乗る車を
 勘違いしただけなのです。少なくとも私は窃盗の意識はありません。
 不法侵入だとか、勝手に車の鍵をあけることが何らかの罪になるのなら、
 それを受けるしかないのでしょう・・・・・・それにしても、私にはどうする
 こともできなかったのです・・・・・・」
そういって、mmはうつむいた――。


*            *

ふとmmはわれに戻った。
今のは白昼夢だったのか。もちろん、取調室になどには入っていない。
ただ、勝手に人の車に乗り込んだことは事実である。
これは犯罪に当たるのだろうか・・・・・・。不安は確かにあるといえばある。

                                        (終)
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by 13staydream | 2008-09-02 00:44 | 戯言